第13章 やっと
静まり返った部屋に、けたたましく鳴り響くインターホンの音。
まどろみの中、ミクはゆっくりと目を開けた。
カーテンの隙間から射す光は、いつもより柔らかく時計の針はすでに正午を回っていた。
「……え?」
休みの日。
スマホの通知も誰からの連絡もなく、今日はただ布団の中で過ごすつもりだった。
けれど、もう1度鳴るチャイムに心臓が軽く跳ねる。
パジャマの上にカーディガンを引っかけ、髪を手ぐしで整えながらドアモニターを覗くと――
「……甚爾…?」
画面の中で、伏黒甚爾が無表情に立っていた。
いつもと変わらぬ黒のジャケット、煙草の匂いすら感じそうな、ぶっきらぼうな存在感。
「……何で……。」
そっとドアを開けると、目が合った。
甚「寝てたか?」
「……うん。休みだし。」