• テキストサイズ

跳躍と銃声の狭間で

第3章 2


「花崎優香です、よろしくお願いします」
「おぉ、よろしくー!」
「えっ、めっちゃ可愛い子来た!田中、鼻の下伸びてるよ」
「はっ…!す、すいませんッス!」
(このノリ…E組の男子よりずっと素直)
日向はというと、きらきらした目で優香を見つめていた
「なんかさ、優香って猫っぽいよね!」
「は?猫?…はあ!?なによ急に!」
「ほら、機嫌いいときは懐いてくれそうだけど、怒るとガブって噛まれそうっていうか!」
「…それ、誉めてるの?」
「もちろん!」
(…なんなのこの子。悪意ゼロで直球すぎる…)
そんなやりとりをしながらも、体育館にいる時間はどこか心地よかった
─深夜。人気のない烏野高校の裏庭
そこに立っていたのは、赤羽業
相変わらず不敵な笑みを浮かべるその顔は、変わらずに優香を見つめていた
「…あんたさ、宮城まで何しに来たの?」
「会いに来たんだよ、“彼女”に」
「ふざけないで。あたし、今忙しいの。バレー部のマネージャー、ちゃんとやりたいの」
「それでも、お前は“戦う人間”だろ? 否定するか?」
優香は息を止めた
カルマの言葉に、心の奥の“戦いの衝動”が反応する
「…何が起きてるの?」
カルマがスマホを差し出す。画面には、ある病院の監視カメラ映像
人間離れした動きで暴れる青年。腕からは、黒く変質した触手が伸びていた
「感染者。接触者に“E組関係者”の可能性あり」
「まさか…」
「そう、“あいつ”が動いてる。─シロが生きてる。しかも…生徒を増やしてる」
ぞくり、と背筋が冷える
「お前にしかできないことがある。現地の調査は俺がやる。お前は学校内を探って」
「バレー部にまで、影響があるってこと…?」
「そういうこと。しかも、烏野だけじゃない。宮城のバレー強豪校全体に波及してる」
(あの人達まで巻き込まれるなんて、絶対に許さない)
「わかった。あたしは…E組として、“敵”を見つけ出す」
カルマがふっと笑った
「じゃあ、これからは放課後デートじゃなくて、放課後捜査ってことだな」
「調子に乗るなバカカルマ!」
E組の元教室(山奥)
木製のドアを開けたのは、黒いスーツ姿の男─烏間惟臣
「動き出したか…シロの亡霊が」
そこにいたのは、電子モニター越しに微笑む“かつての先生”
「ふふふ。やはり生徒たちの成長は、何よりも美しいですね」
殺せんせーが、再び“見守る者”として静かに語った
/ 9ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp