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跳躍と銃声の狭間で

第9章 8


─烏野高校 体育館、午後の練習中
「いっけぇええっ!!!」
日向のスパイクが炸裂する
「影山ナイスセット!!」
優香も笑顔でタオルを渡しながら、仲間を見守っていた─その瞬間
バンッ!!
体育館の扉が勢いよく開き、一人の男子生徒がふらりと入ってきた
「…あれ、誰?」
「えっ、あれって他校のやつ?」
優香が警戒の目を向けた直後、異変が起きた。
「…ああああっ!!」
その男子の腕が膨れ上がり、黒い触手がぐにゃりと蠢く
「っ!?」
優香の瞳が一瞬で変わった。冷徹な“暗殺者の目”
(来た─“感染者”)
周囲が混乱する中、優香は躊躇なく前に出た
「みんな、下がって!! ここはあたしがやる!!」
「えっ、優香!?」
優香は静かに“殺し”の構えをとる
制服の下、太ももホルダーに仕込まれたナイフが一閃
「─おとなしくしなよ感染者」
跳躍一閃、優香は感染者の背後に回り、触手の根本を正確に斬り裂く
悲鳴とともに、感染者が崩れ落ちる
「…無事、確保」
その姿は、もはや“マネージャー”ではなかった
“暗殺者”だった
体育館裏
「…なに、今の…」
日向は呆然と立ち尽くしていた
「優香…あんな顔、今まで見たことない…」
そんな日向の隣に現れたのは─カルマ。
「だから言ったろ。“本当の優香”を知らずに近づくなって」
「…戦ってた。自分の命、賭けて」
「そう。“元E組”、椚ヶ丘の暗殺教室にいた、“花崎優香”だ」
日向は、拳を握る
(オレ…なにも知らなかった)
元E組教室
木々に囲まれたあの教室跡地
優香が立ち尽くすその前に、現れたのは─
「ふふふ…懐かしいですね。こうして再会できるとは」
月の光を背に浮かび上がる、黄色いタコのような影
「…先生」
殺せんせーが、かつての姿でそこにいた
「生徒が苦しんでいるなら、どこにいても、私は見守っています。
そして今─あなたには、“選ばれた役目”がある」
「…選ばれた?」
「あなたが、“命”を使う価値のある戦いを、始める時です」
優香の胸の奥に、なにか熱いものが灯る
(先生…)
「私は、生徒の未来を信じていますよ。優香さん─」
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