第4章 赫き炎刀
「まだ居ますから、一緒に部屋に戻りましょう。」
仁美がそう言うと、明らかに義勇の顔が明るくなった。
そして唖然としている実弥を置いて、仁美は義勇と一緒に部屋を出て行った。
「……なんだ、あれは……。」
「……最近の冨岡さんの話聞いていないのですか?」
呆然としたまましのぶを見ると、彼女は然程今の光景には驚いていないようだ。
実弥に至っては狼狽して気分の悪さに体が震えた位だ。
「冨岡さん、最近女子の好物だったりを隊員に聞いているそうです。冨岡さんには好いた女子が居るともっぱら噂ですよ。」
コソコソ話をする様に、しのぶは手を添えて実弥に耳打ちをした。
「………………。」
噂話はどうであれ、目の前で見た義勇の態度を考えたらそうなのだろう…。
全身で仁美が好きだと言っている様なモノだった。
「……くだらねぇ…。」
「何処に行くんですか?」
苛々した実弥が部屋を出ようとすると、しのぶは実弥に聞いた。
「ぐたらねェ事に時間を潰したくねぇんだよ!!とっとと送って任務終わらせるんだよ!!」