第4章 赫き炎刀
「義勇様、怪我したんですか?」
ぎゅっと抱き締めてくる義勇の腕から逃れて、仁美は義勇の顔を見上げながら聞いた。
「たいした傷じゃない。」
そう仁美に言う義勇の顔は、いつもの様に無表情ではあるが、その目は明らかに優しい。
「……おい。」
いい加減見るに堪えなくなった実弥が低い声を出した。
その声に義勇は初めて実弥が居ると言う事に気が付いた。
「……いたのか、不死川。」
実弥に顔を向けた義勇はまたスンと表情が無くなった。
「もうベットに戻って下さいー!」
きよが義勇の服を引っ張っているのを見て、仁美は義勇の腕から体を離した。
仁美が腕の中からいなくなって、義勇は明らかに悲しそうな顔をする。
「義勇様、怪我しているなら養生して下さい。」
仁美の顔は怒っている様に見えた。
義勇はその仁美を見て彼女が自分を心配してくれている事は分かった。
この仁美の心を無碍にして嫌われるのだけは嫌だった。