第4章 赫き炎刀
仁美が目を開けると強い藤の花の香りがした。
見慣れた天井と藤の花の匂いで、仁美はここがすぐに蝶屋敷だと分かった。
時刻は18時、窓の外を見ると太陽が夕陽の色に変わっていた。
仁美はすぐにキョロキョロと部屋を見渡した。
「……起きてすぐに俺を探すのやめろ…。」
そんな仁美を見て、呆れながら実弥は言った。
仁美は実弥の姿を確認すると安心した様に笑みを浮かべた。
「………………。」
安堵する仁美の顔を見て、実弥は少し顔を俯かせた。
……だからコイツと長く居るのは嫌なんだ。
仁美は実弥と居ると盲目的に彼の側から離れようとしない。
そんな仁美を見ていると実弥も彼女の側に居てあげたいと思った。
そんな気持ちになる事が嫌で実弥は仁美から距離を取る。
「……胡蝶の所に行くぞ。」
実弥がそう言って部屋から出て行くので、仁美はすぐにベットから降りて実弥の後を着いて行った。