第3章 鬼に稀血
仁美の小さな体を腕の中で収めて空を見上げた。
空は薄っすらと薄く染まり、長かった夜が明ける。
実弥はスリッと仁美の頭を撫でた。
実弥の腕の中で、仁美は目を細めてそっと目を閉じた。
寝ている仁美を実弥は耀哉の屋敷に連れて行った。
布団で寝ている仁美の前に正座して、実弥はその夜の全ての事を耀哉に話した。
仁美をどのように扱えばいいか、実弥は分からなかった。
耀哉に仁美を預けて実弥は仁美を置いて屋敷を出て行った。
その後仁美の事は耀哉から聞いた。
最初実弥が居なくて混乱していた仁美も今は落ち着いていると。
仁美は正真正銘人間だと言う事。
そして仁美の目が変質した原因は。
あの日実弥を助けようと血鬼術を使ったからだと。
実弥はその時初めて、仁美が赤い目になった原因が自分だと知った。
そしてその理由が自分を助けようとしていたと言う事も。
人間の仁美が何故血鬼術を使えたかは不明で、それが仁美が鬼と住んでいた理由なのだと耀哉は言った。