第3章 鬼に稀血
実弥の目に何も纏って無い仁美の体が目に入る。
体中の血が沸騰した様に熱かった。
確かに傷は無くなったのに、呼吸が乱れた。
体の熱が下半身に集中している。
………こんなの…。
何かされたに決まってる。
自分の意思でもなく仁美の血の匂いに強制的に欲情させられるのは屈辱的だった。
実弥は地面に座り込むと仁美を睨んで言った。
「…テメェ…本当に何しやがった。」
実弥に蔑む様な目線を送られて、仁美入る胸が傷んだ。
彼を傷付けたい訳じゃ無い。
「わ……私は人間だって鬼たちは言ってた…。」
それはまるで自分に言い訳をしている様だった。
実弥とは違って、仁美は先ほどの昂揚感はすでに無くなっていた。
我に返って、なぜ自分が実弥の傷を治せたのも分からない。
『血鬼術』
実弥が仁美を疑うのも仕方無かった。
仁美の側に居ると、強制的に欲望を掻き立てられた。
ーあの白い肌に喰らい付きたい。