第3章 鬼に稀血
自分の気持ちを無視させれ、情欲を掻き立てられる行為は屈辱的だった。
なのに抑えられない情欲の波に今にも飲まれそうになるのを必死に堪えた。
実弥は日輪刀を握ると刃を自分に向けた。
この情欲に負けるぐらいだったら、自害した方がマシだった。
実際は情欲を抑える為に、自分自身に痛みを与える事が目的の行為だった。
「!!!!」
自分に向けて刃を突き立てた時。
刃と実弥の間に仁美が入って来た。
「辞めて!!」
そう叫んで、仁美は必死に実弥に抱き付いた。
「ごめんなさい…ワザとじゃ無いんです!!」
そう必死に仁美は実弥に懇願した。
傷付かないで欲しい。
自分の前からいなくならないで欲しい。
色んな思いが仁美の頭の中に入って来た。
「ごめんなさい…ごめんなさい………。お願いだから……。」
仁美はギュッと実弥の隊服を掴んだ。
「死ぬなら…私も連れて行って……。」