第3章 鬼に稀血
反吐を吐きそうだと言うのはこんな時に使うのだろうと実弥は思った。
嫌悪感で顔が歪み、仁美の足の鎖を日輪刀で切った。
しかし、十二鬼月を追うのに仁美は邪魔だった。
実弥は仁美を何処かに隠れさせて、すぐに十二鬼月を追うつもりだった。
しかし、目の前にある仁美の体を見た時に、実弥は違和感を感じた。
鬼に監禁されて陵辱されていたには、羽織から出ている仁美の肌は綺麗だった。
鬼に陵辱されたなら、五体満足でいられるはずが無い。
なのに仁美の肌は傷1つ無く、まるで大切に扱われていたかの様に白い肌が際立っていた。
実弥は顔を上げて仁美を確認した。
仁美は驚いた顔をして目を大きく見開いて実弥を見ていた。
仁美が初めて、鬼以外の人間を見た瞬間だった。
その大きく開かれたこと栗色の目に実弥の時間が一瞬止まった様だった。
実弥を鬼とは違う人間だと確信した仁美は嬉しそうに笑った。
明らかに鬼との情事の痕を残しながら、それでも仁美は目を見張るほど美しかった。