第3章 鬼に稀血
「さっさと十二鬼月を殺って柱にのし上がってやラァ!!」
実弥は湧き立つ闘志に笑みを浮かべながら情報のあった屋敷の中に入って行った。
「さっさとかかってこいや!!応援きちまうだろうがぁ!!」
人里離れた屋敷の中は本当に鬼だけだった。
それなりの屋敷なのに、人間が1人も居ないと言う事に気にはなったが、存分に暴れられるのでそれはそれでよかった。
実弥はあらかた鬼を斬ると、まだ見ない下弦の鬼を探した。
大きな鬼の気配がまだあるので、屋敷の中に居ることは間違いが無かった。
どんどん屋敷の奥に入り、1番気配の大きい部屋を見つける。
実弥がドアを蹴破った時に、中から悲鳴が聞こえた。
「!!!」
実弥が入った瞬間。その悲鳴の主は白い体を羽織で隠した。
黒い長い髪を下ろして、驚いた様に目を見開いて実弥を凝視していた。
(鬼??!!いや……女か?!)
薄暗い部屋の中で、黒髪に隠れてその顔ははっきりと分からなかった。
しかし、羽織から出ている細い足首には太く重たい鎖が繋がられていた。
「っ………はぁ………。」
実弥はその光景を見て、怒りで声が漏れた。
それは一目で、その女がどんな状況だったのかが理解出来たからだ。