第1章 半々羽織
その言葉の意味が分からなかったが、昨夜遅くまで義勇の為に起きていたのだから、ゆっくり休んでいるのだろうと解釈した。
「………………。」
義勇は出された食事を食べながら頭の中では仁美のことを考えていた。
寛三郎からは次の指令は出ていない。
この屋敷を出て自分の屋敷に戻るのが普通だろう。
このまま仁美に会わずに?
そう考えた時に義勇の箸は止まった。
いや…。一言お礼を言って出て行くのが礼儀だろう。
そう答えを出して義勇は仁美が現れるまで待つ事にした。
しかし、仁美が義勇の前に現れたのは夜も更けた頃だった。
今日もまたなんでも無い月が夜空を照らしていた。
義勇はいつもと変わらない月を部屋の中から見上げていた。
「義勇様。」
仁美の声に義勇は窓から襖に目を移した。
襖に写っている影は間違いなく仁美のモノだった。
「寝床の用意をしますか?」
普段ならいくら藤の家紋でも、直力迷惑をかけない為に最低限の時間しか過ごさない。