第1章 半々羽織
驚いた様に呆然としている義勇に、仁美はゆっくりと頭を下げた。
「義勇様。どうぞごゆっくりして下さい。」
そう言って仁美は部屋から出て行った。
義勇は仁美が出て行っても、閉じたその襖をしばらく見ていた。
次に義勇が目を覚ましたのは太陽が登り切ってからだった。
「柱様。」
襖の向こうから仁美とは違う女性の声がした。
「お食事の用意が出来ています。」
義勇は襖に写っている女性の影を見て、ゆっくりと寝床から体を起こした。
義勇が隊服に着替えると2人の女性が部屋の中に入って来た。
寝床を片付けて食事の用意をしている。
義勇はそこに仁美が居ない事を疑問に思った。
「…仁美は居ないのか?」
そう使用人達に聞いた時に、義勇は自分でも仁美を探している事に疑問を持った。
「仁美様は昼間はお休みになっています。」
小さな女の子が義勇に伝えた。
(昼間は休んでいる?)