第1章 半々羽織
仁美の後をついて部屋に向かう廊下でも、義勇はジッと仁美の後姿を見ていた。
(何故急に会話が終わってしまったのだろう…。俺が何か変な事を言ったのだろうか…。)
普段なら会話が続かなくても気にしない彼だが、何故かソワソワして仁美の挙動を伺っていた。
1つの部屋に案内されると、仁美はその部屋の灯を灯した。
「まずは傷の手当てからしますか?」
部屋に入り義勇に聞くと彼は首を横に振った。
「必要無い。たいした怪我はしていない。」
義勇の言葉に仁美は少し驚いた顔をした。
「この辺りに出てくる鬼は強い鬼が多いと聞きましたが…。」
義勇が水柱だと言う事は知っていた。
しかしまだ経験も浅く、柱の中では新参者だと言う事も耀哉から聞いている。
「さすが柱様ですね。」
そう笑った仁美を見て、義勇は余計に落ち着かない気持ちになった。
「そしたら本日はお休み下さい。」
そう言って仁美は布団の用意を始めた。