第2章 輝石の額当て
「…また鬼の襲撃に合ったのか?」
「……………。」
天元は仁美が鬼から狙われている事を知っていた。
そして…夜は寝られなく。
天元と出会った当時、仁美は今より精神状態が良くなく、精神的な発作が起き薬を飲んでいた事も。
そんな隠す相手でもないので、天元の心配に仁美は苦笑いをして頷いた。
「逃げ隠れするなんて地味な事してねぇで、俺の嫁になるか?お前の事は絶対に守ってやるぞ。」
「………………。」
天元の言葉は仁美にとって意外だった。
自分の奥方達と鬼狩りにしか興味の無い人だと思っていたから。
「…天元様は意外に情があるのですね。」
「……情か…。」
仁美の答えに天元は少し考える素振りを見せた。
少なくとも仁美が断りを入れているのは分かった。
天元がなんの情に絆されたかと言えば、それはきっとあの夜からの同情なのだろう。
仁美は余計な事は考えるのを辞めて湯浴みの準備が出来ていると天元に伝えた。
天元は仁美から部屋着を渡されると、そのまま部屋を出て風呂場に向かって行った。