第9章 月が綺麗ですね
無惨と意識が繋がり、再びあの地獄に戻るよりも更に恐ろしい現実。
仁美を無惨が食えば、陽光に耐える肉体が得られるかもしれない事実だった。
無惨自身半信半疑というよりは、現実的に仁美を食っても陽光に耐える肉体を得られるとは思っていないようだった。
仁美の中の無惨の細胞は、人間でもないが、鬼でも無かった。
もし本当に仁美を食って、その体が得られるなら、少しの戯れの後にすぐに食われていたのだろう。
だけどもし、鬼殺隊の刃が無惨の心臓に届いた時。
その時に仁美が無惨の側にいたなら、彼は迷うことなく仁美を食うだろう。
それが朝日がのぞくせめぎ合いの最中で、彼がもし陽光を克服してしまったら、この世の修羅は加速するだろう。
実際無惨は仁美を側に置きたい気持ちの中で、その可能性を常に待っていた。
愛では無かった。
仁美は鬼にとって、愛玩の慰みものであり、無惨からしたら手放しがたい、私欲に塗れた執着だった。