第8章 4枚の婚姻状
今こうして義勇を置いて逝こうとしている現実が、恐ろしいほど胸を痛める。
仁美はスリッと義勇の頬を撫でた。
義勇を仁美の顔を見てハッとした。
赤い目から初めて涙を見た。
胸が締め付けられて、仁美を強く抱きしめる。
彼女が涙を流すくらいなら…。
いっそこのままさらってしまおうかー。
少しでも彼女が自分への気持ちを持っているなら。
最後まで側に居るのは自分でもいいはずだ。
「…仁美。俺と一緒にいこう…。」
着物の合わせを開けて、義勇の手が肌に触れる。
見えた肌に唇が触れ、舌の感触が敏感な肌を這っていく。
「ん…義勇様…。」
「なにも言うな仁美。」
言いかける言葉を口付けでのみこむ。
ちゅっちゅっと何度も唇を落として、義勇の手は着物を脱がせていく。
「あ…っ義勇様…私…。」
仁美がなにか言いかけるたびに、義勇は仁美の体に舌を這う。
その度に仁美からは「ん…」と声が漏れて、言いかけた言葉が途切れる。