第7章 鬼の宴
「ははっ。大丈夫だよ仁美。ほら何とも無い。」
童磨は怯えている仁美に再生した自身の手を見せた。
治った童磨の手を見ても、仁美は怯えた表情を変えなかった。
更に強く猗窩座に抱き締められて、仁美は一瞬息を呑んだ。
ボソボソッと耳元で猗窩座の声が聞こえた。
「大丈夫だ……泣くな……。俺が守る……。」
「……え?」
奇妙だった。
恐怖を与えたのは目の前の鬼なのに、その鬼は守る様に抱き締めてきているのだと気が付いた。
「あー…。何かのスイッチが入っちゃったのかな?」
童磨はそう言うと2人に近付き腰を下ろした。
「猗窩座殿。仁美を怖がらせちゃダメだろ。君の言う通り仁美は守ってあげるべき存在なんだから。」
ーーーー守る存在?
童磨の言葉を聞いた時に、猗窩座の頭の中に一瞬だけ人影が見えた。
だけどそれはほんの一瞬で、猗窩座はその人影をすぐに頭の中から消した。
しかし『守る』と認識した時に、渇望していた何かが満たされた気がした。
この弱い人間を守る。
「……どうやって?」