第7章 鬼の宴
そう言って猗窩座の肩を掴んだ時に、ゴトッと童磨の手が床に落ちた。
「……え?」
仁美は一瞬何が起きたか分からなかった。
だけど床に転がる童磨の手と、切れて手首から血を流している童磨を見て、瞳孔を細めた。
「あっ…!いやぁぁぁぁ!!!」
仁美は猗窩座の体を思い切り押し除けて、彼から離れようとした。
「おい……。」
猗窩座は仁美の動揺に酷く困惑して、一瞬にして興奮を冷ました。
仁美を落ち着かせ様と彼女に触れようとするが、仁美は泣き叫びながら猗窩座を拒否した。
「…うるさい…泣くな……。」
仁美の泣き声が鼓膜に響いた。
女性の泣く姿に鼓動が早くなり落ち着かない気持ちになった。
猗窩座は暴れる仁美を強く抱き締めた。
「泣くなと言っているだろう!!」
仁美を抱き締めながら声を大きくはった。
仁美はその怒号に怯えて、自分の声を飲み込んだ。
だけどやはり体は震えて、我慢しても嗚咽と涙が流れた。
仁美が震えていると同時に、抱き締めている猗窩座の手も震えていた。