第1章 半々羽織
仁美は力無く頷くとゆっくりと目を瞑った。
最後に見た顔よりも色は白く。
唇は赤みの色を無くしていた。
結界術を使った疲労もあるのだろう。
義勇に言われると仁美はすぐに眠りに着いた。
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次に仁美が目が覚めたのは、もう月が輝く時刻だった。
「!!!!」
仁美は今が夜だと気が付いて、勢いよく布団から起き上がった。
「仁美。」
狼狽している仁美に義勇は声をかけて、仁美の手を握った。
すぐ横に義勇の姿があり、仁美は彼の姿を凝視した。
「仁美大丈夫だ。この宿はお館様達が遠隔で結界術を張ってくれている。鬼に見つかる事は無い。」
義勇の言葉を聞いて、仁美はやっと安堵のため息を吐いた。
「……義勇様…。ありがとうございます…。」
仁美は義勇に御礼を言うと、彼の肩に体に自分の体を預ける様に擦り付いた。
「……仁美…。」