第7章 鬼の宴
その態度には少しイラッとした。
「仁美。旦那様ばかりで無く、俺にも関心を待ってくれよ。」
触れている頬の手で、クイッと自分の方に顔を向けた。
「散歩は楽しかった?」
「……そうでも無い…。」
結局何処にも行けなかった。
「仁美は人間の中じゃ暮らしていく術もないでしょう?運良く誰かに拾われても売られるか手籠にされるか……。」
童磨は仁美の唇を指でなぞった。
もう無惨の姿は部屋には無くまたこの鬼との時間だ。
「それならここで俺たちに愛されていた方が仁美は幸せになれるぜ。」
童磨はニッコリ笑って仁美に言った。
幸せ……。
せっかく産まれて生き延びた命ならそりゃあ幸せになりたい。
でも幸せとはなんだろう。
仁美は抱かれている童磨の着物を握った。
「……血を流さない様になったら……旦那様は私と一緒に居てくれる?」
仁美の言葉に童磨はガッカリとした顔をする。
「はぁ……旦那様ばっかり…。」
少し不貞腐れた童磨が仁美の胸に顔を埋めた。