第7章 鬼の宴
猗窩座は仁美を抱きながら帰って来た無惨に驚愕した。
無惨様が人間の女に寵愛を与えている。
その信じ難い話を目の前で見たのだ。
首を垂れたまま猗窩座は拳を握って強い屈辱に耐えた。
弱い奴は嫌悪が出るほど嫌いだった。
そして守らなけばならないほどの弱い人間は更にその嫌悪感を強めた。
その感情は強迫概念の様に猗窩座に纏わりつく。
「…今日はいつも寝ている日中から動いて疲れただろ。」
無惨から仁美を受け取ると、童磨はスリッと仁美の顔を撫でた。
されるがままの仁美を見て童磨はその心中をすぐに察した。
死ねたのなら楽だっただろう。
可哀想に、死ぬ事も出来ないで苦しむだけなら……。
こうやって諦めるしか出来ないのだから。
童磨は仁美を苦しみから救うのは自分だと自負している。
その為の愛情位は仁美に注いでいた。
しかし仁美はそんな童磨の言葉に少しの反応を見せない。
目はずっと無惨を追っていて、触れてくる童磨の手など気にも留めていない様だった。