第7章 鬼の宴
私の科は何だったのだろう。
鬼から産まれた事か。
鬼に育てられた事か…。
それとも鬼に愛され愛した事なのか…。
その全てだと言うなら誰がその科を咎めるのだろう。
無惨は地面に横たわっている仁美を抱き上げた。
体温を感じない腕の中が…誰よりも心地よい。
人喰いに嫌悪感を覚えるのは同族の嫌悪感だろう。
鬼と分かっていても、人型をした無惨に魅入られ心を許してしまった。
鬼を同じ生き物と認識して全てを赦した。
そうだ。
これは捕食者と被食者との恐怖では無い。
れっきとした嫌悪感だ。
牙があり、目が赤い。
身体的な違いは気にはならない。
あんまりだ。
残酷なこの答えの先でもまだ彼を愛しているようだ。
「…お前は熊が人を食い、災害で人が死んでも同じ様に取り乱すのか?」
「……どうでしょう…。残虐な事は見たくありません。」
「なら、このまま森の中で死骸を動物に叩かれようと自然の摂理だと思わないか?」
「………………。」
「私と人間の立場が自然の摂理の上で成り立っているだけだ。」