第7章 鬼の宴
「猗窩座殿は女を食わないだけで抱いた事位はあるだろ?」
「……………。」
本当に……。
無惨が絡んで居なかったら頭を吹き飛ばしているだろう。
「……その娘が逃げている様だぞ。」
遠目に屋敷から出て行く仁美が見えた。
その姿を童磨も確認する。
「……ああ…ただの散歩だ。仁美が何処かに行けるはずが無い。」
仁美の後姿を見ながら童磨は余裕そうに言った。
童磨がそう言う理由は、この場所が山奥の人里離れた場所だったからだ。
仁美の足でまず山を降りる事は出来ないと童磨は分かっていた。
そして童磨の読み通り屋敷を出てすぐに仁美は困惑した。
舗装されていない山道。
獣道さえ見当たらず、仁美は自分が真っ直ぐ歩けているかさえも分からない。
普通なら遭難すると察するのに、この時の仁美はその無茶な山中を歩き続けた。
遭難してその命が尽きても構わなかった。
ただ。鬼から離れたい。
普段体を休めている日中に、陽光に当てられて仁美の体力はどんどんすり減っていた。