第7章 鬼の宴
苦手な陽光でさえもその衝動を抑えられなかった。
仁美は童磨に貪られた重たい体を起こした。
扉を開けると、差し込む太陽の光に一瞬目を顰めた。
屋敷を出て一歩一歩歩いていくが鬼は追いかけて来ない。
屋敷の中に無数の鬼の気配はあったが、誰も陽光を浴びて歩く仁美の後は追わなかった。
「よく来てくれた猗窩座殿。」
童磨は陽光が当たらない部屋で入って来た猗窩座に嬉しそうに手招きをした。
その馴れ馴れしい動作に猗窩座の顔が歪んでも、童磨はお構い無しだった。
「無惨様から預かっている娘が居るんだが……、猗窩座殿の手を借りたいんだ。」
当然無惨絡みでなかったら、猗窩座は童磨の呼び出しに応じる訳が無かった。
「可愛がってやりたんだが俺じゃあ無惨様の意思に染まり過ぎて思う様に出来なくてな。」
「……………。」
意外だった。
どうやら童磨自身、猗窩座に頼る事は不本意の様だった。
猗窩座は童磨に返事をする事も無かった。
童磨が自分に何を頼んでいるのかは見当が付いていた。
それは猗窩座にとっては好んだ事では無かった。