第6章 虹色の目の無神論者
童磨は大切そうに体を震わせている仁美を抱き締めた。
彼の肩越しに橋に散らばった肉片が見えた。
童磨は歩き続けるので、居の中に入った時にその光景は遮断された。
だけど仁美は脳裏に焼き付いたその光景を忘れられない。
「震えてるな。大丈夫?」
仁美を布団に置くと童磨は顔を覗き込みながら言った。
体の震えは止まらなかった。
足首に童磨の手が触れると、そのまま裾をたくし上げる様に手が足の付け根に移動した。
「大丈夫。痛く無いから。」
笑いかけながら仁美の頬に唇を押し付けた。
手足が冷たくなり凍える様にカタカタ歯がなった。
この行為を怖がっているんじゃない。
「…や…やめ……。」
童磨に触れるたびに返り血が手に付いた。
童磨は仁美の手を掴むと、ベットリ付いている血を舐め上げた。
この鬼は……。
ずっと私の血も啜っていた。
「体が固いよ。もっと気を楽にして。」
「あ……無理……。」
何処を触っても体を強張らせている仁美に童磨はため息を吐いた。
そのため息さえもう恐怖で。
仁美の体はビクッと反応した。