第6章 虹色の目の無神論者
鬼が受け入れる体になったら、本当に旦那様は会いに来てくれるだろうか…。
旦那様に会いたい…。
だけど同じ位鬼から逃げたい…。
会いたくてどうしようも無いのに…。
あの人から1番逃げたい…。
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………いつ気を失ったっけ…。
気が付けばまた目が覚めた。
この場所は外からの光が無いので、今が何時かも分からないけど、童磨が居ない事を見ればこれから夜が始まるのだろう。
また屈辱的な夜が。
童磨が言った通り、体はもう癒えていた。
動いても痛みを感じない。
仁美は途端にここから逃げ出したくなった。
立ち上がって寝巻きのまま部屋の外に出た。
ここに連れて来られてから、この部屋を出たのは無惨を這って追った時だけだ。
あの時とは違い仁美は2本の足で廊下を歩いた。
鬼の気配は無かった。
誰も居ない居の中を歩いて、仁美は蓮が浮かぶ池に向かった。
その先に外に出る門があると知っているから。
そこを出口だと信じて………。