第6章 虹色の目の無神論者
プライドの高い彼は屈辱だっただろう。
自分の自我と反して情欲を掻き立てられて変貌までした。
旦那様は何故変貌した?
私が血を流したから?
涙を流したから?
仁美は婚姻衣装を用意した鬼を思い出した。
死にたくなければ無惨に涙を見せるなと言った。
このまま旦那様が会いにきてくれなかったら…。
ソコまで考えて仁美は背筋がゾッとした。
目の前には恍悦の表情で体を貪っている童磨が居る。
この鬼に一生体を貪られるのかもしれない…。
もう泣いて叫んでも無惨は会いにきてくれない。
仁美は込み上げる涙を堪えながら童磨に聞いた。
「……私の体が慣れれば、旦那様は会いにきてくれる?」
仁美の声に童磨は顔を上げた。
涙を堪えて縋るように自分を見る仁美の表情に、童磨は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「頑張ろうね仁美。健気な女の子は好きだよ。あの方の為に仁美が頑張ったならすぐに会いに来てくれるよ。」
それは童磨の本心だった。