第6章 虹色の目の無神論者
子供をあやす様に抱き抱えられて、彼の顔を見下ろした仁美は更に涙を流した。
「旦那様……。」
今日は髪が長く和装だった。
だけど仁美は戸惑う事も無く無惨を呼ぶと、彼の肩に顔を埋めた。
「… 仁美は泣いてばかりです。俺に触れられる事をあまり良く思っていない様です。」
童磨は無惨の言葉に肩を落としながら言った。
彼は彼なりに仁美に寄り添い、仁美を宥めているつもりだった。
しかし、そんな童磨に仁美は心を開くどころか嫌悪感を隠そうともしなかった。
童磨は何故仁美に嫌われているか理解していなかった。
血肉を喰らうのも我慢して、治りの付かない情欲ですら耐えて仁美を労わっていたのだから。
なのに仁美は泣いてばかりで、童磨はお手上げだった。
「……何故泣いている?」
今度は仁美に聞いた。
仁美はそんな事を聞かれる事自体信じられなかった。
「……私は嫌です…旦那様以外の男性に触れられるのは。」
童磨の男性器など見たくも無い。