第6章 虹色の目の無神論者
「旦那様…ああ旦那様ね…。」
童磨は仁美の手を掴むと、彼女の顔を覗き込んだ。
「君の旦那様は俺の旦那様でもある。その旦那様が言ったんだよ、君の傷を癒す様にって……。」
童磨は仁美を抱き締めると、彼女の頬に顔を擦らせた。
背中から手を這って、仁美の細い腰を撫でながら言った。
「そしてこの体が鬼を受け入れられる様にしろと、旦那様が俺にそう言ったんだよ。」
童磨の声が耳元で聞こえると、仁美の胸が大きく鳴った。
言葉の意味が分かると、下半身の痛みとは比べられ無いほど胸が痛んだ。
仁美の震えた頬に涙が流れた。
「ちょっとまぐわっただけでこれだけ傷を付けたんじゃ……さぞかし旦那様も退屈だっただろうね。」
愛玩用も楽しめないのなら、ただのガラクタに過ぎない。
童磨にしては楽しめない愛玩を重宝する事が理解出来ないが、無惨の心を測る事などしようとも思って無かった。
童磨の腕の中で仁美は再び嗚咽を漏らした。
「泣かないで、あの方に満足して貰えるまで頑張ればいいんだよ。」