第5章 傲岸不遜の鬼
無惨の手が肩に触れると、仁美はゆっくりと目を瞑った。
ヒヤリとした唇が触れ、その一瞬に仁美は震えるほど歓喜した。
仁美はブーケを持っていた手に力を入れた。
仁美の手が震えていた事にすぐに気が付いた。
ソッと彼女の手に触れると、無惨は仁美を抱き上げた。
「…だ…旦那様…。」
仁美は顔を真っ赤にして無惨の足取りで揺れる体を彼の胸に埋めた。
彼が何処に向かっているのかは分かっていた。
背中に柔らかい感触が触れると、仁美は目を開けて無惨を見上げた。
薄暗さに目が慣れて、彼の輪郭がぼんやりと見えた。
無惨が長く仁美と向き合う事は珍しいので、仁美はその光景に目を細めた。
ゆっくりとまた無惨の唇が触れてくると、今度は舌が唇を割って入ってきた。
「…っ……。」
まだ慣れないその口付けでも、仁美は必死で彼に応えた。
舌の絡まる音が部屋に響き、息苦しさにまた顔が熱くなる。
段々と口付けが激しくなってくると、無惨の手が仁美の純白のドレスの裾をめくった。