• テキストサイズ

【鬼滅の刃】月が綺麗ですね【R指定】

第5章 傲岸不遜の鬼



静かに沸いた違和感を吟味する時間は無かった。

静かな部屋の中に一瞬風が吹いた。









「月が綺麗ですね。」




誰も居なかった薄暗い部屋の中にいつもの声がした。

その声を聞いた途端に不安だった気持ちが凪いでいった。

穏やかな気持ちで顔を上げると、いつもの赤い目がまた違う姿で現れる。




仁美は無惨がどんな姿形でも彼だとすぐに分かった。

だけど、どれが本当の彼の姿なのか想像した事はあった。

髪が長い時も短い時も、洋装の時も和装の時も。

本当の姿はその日見た彼の姿が1番近かった。




癖のある髪が彼の頬の側で揺らぎ、赤い目は無機質に自分に向けられる。

女から愛を囁くなど恥だと思っていた。

だから彼が同じ言葉で気持ちを伝えてくれた時に、仁美は胸の奥から幸福感が湧き起こった。




「ええ、本当に…。こんなに綺麗な満月は初めてです。」




仁美がそう言うと、無惨は少し顔を和らげて仁美の側まで来た。

「……私に望む事はあるか?」

仁美の顎に指で上げると無惨は低い声で仁美に聞いた。




「……なら…口付けを……。」
/ 259ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp