第5章 傲岸不遜の鬼
無惨でなければ気が付かけないほどの人体の変化。
無惨の血が人体に流れ鬼化する時に鬼の中で異能を得る者もいた。
1000年以上無惨の血に対抗できる人間の細胞は無かった。
言うなれば、仁美は人間の異能だった。
母親の胎内で自分の生命を脅かされるほどの細胞破壊が行われた時。
その小さな命はそれに適用したのだ。
死にいく自身の体を変化させて、鬼の細胞に対応できる人間の人体に進化した。
誰にでも出来る事ではない。
1000年以上誰も成し得なかった事を腹の中の赤子がやったのだ。
仁美の全てを見てきた無惨だからこの結論に辿り着いた。
そしてその健気な生命体は、その瀕死の状態で無惨の細胞も取り込んだらしい。
人間の体で無惨の細胞に屈しなかった生き物。
それが仁美なのだ。
だから仁美は人間だ。
年も取るしその内老いて死んでいくのだろう。
無惨は手を離すと仁美から離れた。
「今度質問するモノはもっと知性ある質問をしろ。」
「……はい………。旦那様……。」