第4章 赫き炎刀
仁美の力は、耀哉と実弥しか知らなかった。
天元は薄々気が付いていたみたいだが。
なので瀕死だった杏寿郎がここまで完治して、隊士達は恐ろしいモノを見ていると言う訳だ。
「き…杏寿郎様……。体調は大丈夫ですか?」
仁美は杏寿郎の横に座り、誤魔化す様に杏寿郎に言った。
杏寿郎は隣に座った仁美を見て、食器を置いて仁美の方に体を向けた。
「…起きたか…。仁美の方が体は大丈夫か?」
先程まで豪快に食事をしていたのに、仁美の顔を手で触れて、杏寿郎は優しい笑顔で仁美に聞いた。
「………………。」
杏寿郎のその行動に、その部屋に居た隊士達はまた驚愕の顔をしていた。
「……この部屋を人払いして下さい、」
仁美は彼らがどんな顔をしているのか想像出来たから、顔を赤くしながら指示を出した。
「仁美。」
部屋の中に他の者が居なくなったのを確認して、杏寿郎は背筋を伸ばして仁美の前に座り直した。