第1章 半々羽織
「不死川はこうして抱いているだけだったか?」
とてもじゃ無いが、それで収まりそうもないほどの動悸が義勇を襲っている。
「……答えたくありません。」
どうして答えてくれないのだろう。
いや、答えを聞くのもやはり怖い。
「鬼狩り様達がこの屋敷に居ると言う事だけで安心して夜を過ごせます。」
仁美は義勇の体から離れてそう言った。
仁美の体が離れて、義勇はあからさまに落ち込んでいる。
「明日はここを立ちますか?」
仁美に聞かれて、もう一度仁美に触れようとした手は宙を切った。
「……そうだな…。十分養生させて貰った…。」
義勇は仁美の顔を見ながらそう言った。
仁美はそんな義勇にニッコリ笑った。
「…朝立たれるのでしたら、私は見送りが出来ないかもしれないので、今日は日が昇るまで起きている事にします。」
仁美がそう言って腰を上げると、やはり義勇は彼女の手を取った。
「なら、この部屋で一緒に朝を待つか。」