第4章 赫き炎刀
そう言って仁美は杏寿郎の胸元に手を添えた。
『大丈夫。』その意味はすぐに分かった。
杏寿郎の体が覆い被さられて、仁美は布団に押し付けられた。
仁美の首筋に唇が触れて、仁美は静かに体を震わせた。
仁美はしっかり目を瞑っていた。
彼女は知っている。
こうして組み敷かれていても、目を開けたらあの時の実弥の様に、屈辱的な表情で自分を見下ろしている事を。
杏寿郎の唇が胸元から離れて、仁美の唇に移動した。
「あっ……杏寿郎様…。」
仁美はその時に薄っすら目を開けた。
また同じ様に仁美に対して憎悪を向けた眼差しを向けられていると思っていた。
しかし、仁美の目に入ったのは、その情欲と一緒に注がれていたのは炎の様な熱い目線だった。
「…すまない…上手く出来なくて痛みを与えてしまうかもしれない…。」
彼の言葉と目線からは仁美に対する気遣いすら見えた。
「あ……杏寿郎様…っ。」
彼の表情を見た時に、仁美はその情欲が心地よかった。