第4章 赫き炎刀
実弥は仁美の言葉に、はぁ?と言う顔をする。
「……冨岡には申し訳無いと思う事を俺にはやらせるのか?」
「だって義勇様にそんな事言ったら、凄く悲しい顔をするのが分かりますし……実弥様はスパッと切ってくれそうじゃないですか。」
淡々と言う仁美に、実弥は思った。
鬼だ。
コイツは人の気持ちが分からない鬼に違いない。
何処が人の愛を理解出来ているというのだろう。
「……お前は鬼か…。」
能面の様な顔で実弥は言った。
「鬼じゃないです。」
サラッと答える仁美に実弥は青スジを立てた。
「普通はな!!冨岡に悪いと思う事は他の奴にも悪いと思うんだよ!!全然人の気持ちなんて理解してねぇじゃねぇか!!」
実弥に怒鳴られて、今度は仁美がハッとした顔をした。
「まさか実弥様が私の首を跳ねるのに悲しい思いをするとは考えませんでした…。」
人の事なんだと思っているのだ。
その言葉は喉の奥に引っ込めた。