第4章 赫き炎刀
「……義勇様は…。鬼をたくさん殺せる強い人です…。」
「……強いから好きなのか?」
「……いつか、もし私が鬼化してしまったら、すぐに殺せる人の側に居たいです。」
実弥は仁美の言葉を聞いて目を見開いた。
彼女がそんな事を考えていたなんて知らなかった。
仁美が鬼化するなんて憶測でしか無い。
実は強い確信も無くて、むしろ耀哉やしのぶは鬼化では無く、人間のまま血鬼術を使った状態だったのではないか。
ずっと仁美の体を診ていたしのぶの見解だった。
仁美の血は鬼とはかけ離れていて人間そのモノだからだ。
かと言って、目の鬼化に関してはなんの解明もされていない。
要するに、仁美の体に分からない事だらけなのだ。
「…お前…。そんな事考えてたのか?」
「…ええまぁ…万が一の為に…。」
顔を俯かせた仁美に、実弥は思わず彼女の体に触れようとは手を伸ばした。
「…でも、義勇様にそこまでやらせてしまうのは気が引けてしまって……。本当はその時は実弥様に最後を看取って欲しいです。」