第4章 赫き炎刀
「…実弥様は…。私が鬼に育てられたからと言って感情が無いと思ってましたか?」
実弥はそんな仁美の言葉にギクリとした。
そう思っていた。
仁美は笑顔をみせるが、その心情はいつも掴めなかった。
鬼の気配に怖がる以外は、その感情を露わにしない。
「…私は愛が何かも、人の好意に触れた時にどんな対価を返すかも知ってます。文字も読めますし、字も書けます。」
鬼は仁美に教養を与えていた。
無惨が好みの本や文豪達が書いた記事が多かったが、それらは仁美の糧となって、思想の根源を植え付けるモノであった。
「…愛した人が居て、それが鬼である事が悍ましいと知ったのは、実弥様と出会ってこの世界を知った時からです。」
自分の体が悍ましく、仁美に抱かれて屈辱的な顔をしていた実弥を見て。
自分の世界がおかしかった事に初めて気が付いた。
鬼達にされていたのは陵辱で屈辱的だったことも、実弥の顔を見て初めて知った。
自分が悍ましいと教えられ、その事で実弥を恨んだ事は無かった。
むしろ実弥の世界をもっと知りたかった。