第4章 赫き炎刀
自分が憐れみ、罪悪感から遠ざけていた仁美が、自分以外にも心を許せる人が出来たと知った。
もしかしたらそれは義勇1人では無いかも知れない。
実弥は仁美の事を知らなかった。
鬼と過ごし、鬼に陵辱され、鬼の目を持ち、血鬼術を使った。
そんな『人間。』
実弥が知っている仁美はそれだけだった。
長い月日が経っても、彼女が何を思い、どう過ごしてきたのか。
仁美の心情に触れる話なんてした事が無かった。
仁美があんな風に誰かの好意に触れ、好意を返す事など想像していなかったのだ。
そんな仁美の姿は実弥に衝撃を与えた。
自分が知っている仁美が全然違う仁美の様に思えたのだ。
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しばらく義勇と逢瀬を重ねて、仁美は実弥の元に戻った。
実弥は仁美を見ると、すぐに帰路にする事を伝えた。
また実弥の背中を見ながら夜道を歩く。
仁美はもう実弥と話す事を諦めていたが、その時の実弥は違った。