第4章 おでかけ
「俺は公爵の産まれだが、後ろ盾なんて立てずに軍に入ったんだ。汚いこともやったし。平民と一緒に朝まで呑んだこともあるし、喧嘩もした。」
「後ろ盾無しに?公爵家なのにですか??」
「あぁ、偽名使って少し目の色を変えたら誰も分からん。」
「そうなのですね。よく公爵様はお許しになりましたね?」
「その親父(公爵)が言ったんだよ。」
「え!?公爵様が??」
「代々?ガイベルド公爵の長男はそれをやるのが伝統だとか何とか……長ったらしい話だったからよく覚えてない。」
そう語らいながらクレープを食べ進めるギルヴァに、聞きながらマキアもクレープを食べている。
「だから、こんな事ではしたないだの。下品だの。なんだのなんて言ってたら、俺がした事を聞いたら立派な紳士淑女は倒れるかもなぁ??」
クククッと笑いながら、だから気にするな。と言って引き寄せて肩を掴んでる方の手でマキアの頭をポンポンと撫でるギルヴァ
本当に公爵家の魔族と思えないくらいの行動と言葉に不思議に思いながら食べ終わりハンカチで口を拭いていると、同じく食べ終わったギルヴァの口の端にチョコレートクリームがついているのが見えたマキアは……
「あ、ガイベルド卿、そのままで……」
「ん?」
マキアは密着したままでギルヴァの方を向いて、ハンカチでチョコレートクリームを拭った。
「ついてましたわ。取れましたよ。」
そう微笑むマキアに、イタズラな笑みを見せたギルヴァはマキアの耳元に口を寄せて低い声で
「舐めてくれても良かったんだぜ?」
「っ!?……ガイベルド卿?」
「ギルヴァだ。」
「え?……」
「ギルヴァと呼べよ。カップルなんだろ?」
そう言うギルヴァに声が低いからか近いからか、頬を赤らめるマキアは少し戸惑いながらも
「あっ……ギルヴァ様?」
「なんだ??マキア」
満足そうに微笑むギルヴァに赤面するマキア
鼓動が早く感じるマキア