第3章 なかよし
謝罪をしながら頭を下げるマキアにビィナはマキアの両肩に手を添えて
「謝ることはありませんわ。こちらが予定より早く来てしまったのだから予定があるのは仕方ありません。それに……あんな大きな声で話をされたらコチラの耳が疲れてしまうわ」
あんな大きな声というのは養父のことを言ってるのだろう
そう遠回しに言ったビィナに、思わずクスクスと笑うマキアを見たビィナも微笑み
「それに、私は貴女と話をしたかったのよ。皇太子妃殿下も貴女に興味を持ってたわ」
「私にですか??」
「えぇ!人間のことは知らない事ばかりなのよ。マナーも至らないとは思うわ」
「気になさらないでください。デビアン帝国の皆様の自由になさって大丈夫ですから」
「そう??でも……」
そう言いながら、持っていた深緑の扇子を閉じたままでギルヴァを指すビィナ
それに肩を揺らすギルヴァ
「ネクタイもちゃんとできないのよ。ミへーラフィ侯爵令嬢にお願いしてもいいかしら??」
「私ですか?」
「大きい手だからネクタイも結べないのよ。大丈夫。取って食べたりしないわ。」
扇子を広げて、コソッとマキアに言いながらウインクするビィナにまたクスクスと笑うマキア
そして歩き出して、ギルヴァの前に来たマキアは一礼し
「ネクタイをよろしいでしょうか?ガイベルド卿」
「あ?……あぁ、すまん。」
驚きながらも前屈みになるギルヴァに手を伸ばすマキアは優しく丁寧にネクタイを結い直していく
握ったら折れてしまいそうな腕と小さな手を見ながらネクタイを結んで貰うギルヴァ
結び終わるとネクタイをポンポンとマキアは優しく叩き
「できましたわ。これで大丈夫です」
「ありがとう。ミへーラフィ令嬢」
「大丈夫ですよ。」
お礼を言うギルヴァに、微笑むマキア
そんな2人を少し離れた所にいたビィナとレンヒ
「ビィナ、わざとネクタイやらなかったね??」
「あら?何のこと?」
「とぼけちゃって……でも、良いんじゃないかな?あの子」
「全然、ギルヴァのこと怖がってないわよね?」
「それは僕も不思議なんだよね。」