第10章 がいこうかい かいし
「うーん…クイト兄様が言ったように、皆さんの覇気で身が引き締まる感じはしますし……それに魔力も凄いなって少しだけ視えますが……恐怖って思いませんよ。」
微笑みながら答えたリリンに驚く3人の魔族
「普通、俺らの見た目に怖がる者は多いんだ。覇気は分かるにしても、リリン令嬢は魔力まで分かるんだな?」
ギルヴァが聞き、リリンがまた失礼な事をしたと思って謝ろうとした時
「この子は魔法技術を頑張ってるんですよ。だから、魔力透視の魔法も使えるんですよ。」
マキアがリリンの両肩に手を添えながら答え、
ギルヴァが感心する
「凄いな……アカデミーに在学中なんだろ?」
「は…はい。アカデミーの高等部です。」
「アカデミー在学者で魔力透視の魔法展開できるとは……」
「まぁ、どうせ……可愛い妹の魔法技術を頑張ってるのを面白がって教えたんでしょ?……クイト卿?」
気まずそうな顔のリリン
マキアは悪い笑みをクイトに向けて聞き
クイトは苦笑しながら
「ミへーラフィ侯爵令嬢……なんで分かるんだ?……」
「リリンにとって少し難しい魔力透視を自ら言うわけないでしょ。
…前にリリンが倒れちゃったくらいの魔法を教えて、お兄さんであるヤイト卿とユイト卿に、たくさん怒られたの忘れたの??」
「は……な?なんで?…それ知ってるの?」
「仕事で城へ行った時に、たまたま会ったユイト卿から聞いたのよ……変な事してたら、すぐ教えてくれってお願い付きでね?」
「マジ?」
「あ……マキア姉様……リリンが教えて欲しいって言ったんですよ?」
「リリンは優しいのね……大丈夫よ。リリンは悪いことしてないんだからね。」
「ミへーラフィ侯爵令嬢……マキア令嬢様…お願いだから、兄さん達には言わないでくれ……次やったのバレたら…家の僕の研究室の鍵を没収されちゃうんだよ。」
「あらあら……私に悪い取引を申し込むの?」
「論文手伝うから!」
「別に貴方に手伝ってもらう程、論文を放置してないわよ。それは補佐なんだから分かるでしょ?クイト卿」
「ぐっ……」
追い込まれて何も言えないクイトに、クスクスと面白そうに笑うマキア
リリンはどうしようと焦っている
その3人の様子に思わず吹き出したギルヴァ