第10章 がいこうかい かいし
「お疲れ様ね……でも、これからだからね。」
魔力を使ったからか、指示したからなのか、落ち込むレンヒの頭をセットが崩れない程度に撫でるビィナ
そんな2人の様子を見ていたマキアに声を掛けるギルヴァ
「さっきの政務官??仕事関係か?」
「ラグワさんですか?……えぇ、魔法塔の研究とか国に提出する書類とかを手伝ってくれたことあるのです。だいたいの政務官はアカデミーで優秀な成績を取った人ですが、平民の方ばかりなのですよ。」
「あー……ラグワって奴も平民か?」
ギルヴァの言葉に頷いたマキア
「前に魔法塔が提出した書類に不備があって、私がたまたま時間があったので、政務庁の方へ行ったら……その時にいた皆さんは平民の方なので、私が声を掛けると、貴族だからと…話せず逃げられちゃいまして……」
「まぁ、貴族に何かしたら大変だからと平民からしたビビるか……」
「でも、その時にラグワさん含めて何人かは逃げずに、謝りながら話を聞いて来てくれたんです。書類の不備はこちらのせいなのに、身体を震わせながらも一生懸命聞いてくれました。」
「ほぅ……度胸あるんだな。」
「そうですね……私は侯爵家の者だから、余計に緊張させてしまって……気にしないし、家は関係ないと言っても、慣れてもらうまで時間は掛かりましたわ……」
「でも……娘と仲良くまで行ったのか?」
「えぇ……その後にラグワさんのご家族に何度か会って、魔法塔に招待もしました。娘さんは水属性の魔法と相性良かったので教えたりもしたのですよ?」
「侯爵令嬢の直々にか?」
「貴族なんて関係ありませんよ。私も水属性は相性良いのでコツとかね……お金を払われそうなのを何度も返しました。アカデミーに入ったら、水属性の魔法見せるので良いって言ったんです。」
「それで、会いにって言ってたのか……」
「ここ1年は研究やら仕事やらでアカデミー行けなかったですからね……手紙でも書きますわ。」
「先生みたいなもんだな?」
「せ、先生なんて程の事は教えてませんよ?…近所のお姉さんくらいに思ってくれるので充分です。」
「フッ……やっぱりいい女だな?マキア」
ギルヴァはそう言いながらマキアの肩を抱き寄せる
「え?……この話で?」
「貴族と平民の差別しないのがいいんだよ。」