第9章 たいせつなこと
リンアが出て行って、
廊下の方がバタバタとしたのが聞こえる部屋にいた灰色の小鳥は翼を広げて飛びはじめ
入ってきた窓から外へ出る
灰色の小鳥が1本の木へ入り、太めの枝に止まると
その隣にソゼが座っていた。
夜というのもあり、夜空の星々の光により木の中は暗く影があちこちにあった。
ソゼは閉じていた目を開き、灰色の小鳥に指を近づけると、小鳥はソゼの指に乗った。
「ありがとうな。感覚共有の魔法をさせてもらったお陰で無事に渡せた。」
「ピィ…ピィ!」
灰色の小鳥に餌を渡して、飛んでいくのを見送ったソゼ
「……でも、まさか……すぐにギルヴァ様の魔法陣が見破られるなんて思わなかったけど……闇属性に偏見がない人で安心した……」
小鳥の視界を共有して、小鳥の影から手紙を出したソゼ
共有していた視界で見た……女性の涙を浮かべながらお礼を言った姿を思い出す
「大切な手紙を届けられて良かった。…さて…戻るか……」
そう言いながら影の中へ入ったソゼ
マキアからの環境の話を聞いてから、水属性で身体を包む膜を魔法展開させてから、ヒューニンザ帝国なのに影の中の息苦しさがほぼ消えた。
(ミへーラフィ令嬢には感謝しかないな……6代目にも、いちよう伝えとくか……)
そう思いながら、ソゼは影の深部へ沈み入った。