第9章 たいせつなこと
/シンディ男爵家 首都邸宅/
シンディ男爵家邸宅のある部屋
そこには刺繍をしている1人の女性がいた。
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リンア・シンディ
シンディ男爵夫人
ラベンダー色の瞳、白い透き通った肌
パステルブルー色の腰まである髪はサイドでまとめられている。
マキアの実母
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リンアは寝る前の自由な時間に刺繍をするのが好きなので、
メイドも下がらせて1人の時間を過ごしている。
=コンコンコン!
ふとノック音が聞こえるも
出入口の方の扉ではなく、窓から聞こえていて
リンアは刺繍していた物を置いて、立ち上がる。
窓は換気のために少し開いていて、そこにいたのはノック音を鳴らす灰色の小鳥がいた。
「あら……迷子かしら?」
そう優しい声で窓をゆっくり開くと、灰色の小鳥は部屋の中に入ってきて、リンアが座っていた椅子に乗る
その小鳥の様子にクスクスと笑いながら椅子の方に戻ると……
「え?……」
椅子の上にいる灰色の小鳥の傍には、
小鳥よりは明らかに大きいサイズのラベンダー色と白色のグラデーションの封筒があり、
《シンディ家の皆様へ》と書かれていて
「ごめんなさいね……ちょっといいかしら?」
そう灰色の小鳥にリンアは声を掛けると、手紙から距離を置く小鳥
封筒を手に取り、ふと薄く黒色の魔法陣が見えたリンア
「これは……闇属性??」
闇属性というのと…悪意や害が無いのは直ぐに魔力の感覚でリンアは分かった。
疑問に思いながら封筒の裏を見ると…
封筒にある封蝋は蜂蜜色でマキアのイニシャルの刻印があり、
封筒の端には、
《マキア・ミへーラフィ》と名前が書かれているのが見えた。
「え?……うそ……本当に?……」
驚いて片手で口を覆うリンアは、封筒から灰色の小鳥の方を見ると
「ピィ!!…」
リンアに応えるかのように鳴いた灰色の小鳥に、涙を浮かべたリンア
「ごめんなさい……貴方に感謝するわ。失礼しますね。」
リンアはそう言うと灰色の小鳥に一礼して部屋を出た。
「ルーヴィル!!ルルヤ!!2人を呼んで!!
あと……アンネにも直ぐに連絡してちょうだい!!」
廊下に出て早歩きしながら、驚くメイドに声を掛け、リンアは家族の名前を呼んだ。