第9章 たいせつなこと
ギルヴァの説明にソゼは頭を下げたままで
「処罰は如何様にも……」
「…しねぇよ。ここ(ヒューニンザ帝国)の環境で俺が呼んだんだ。依頼したいからな。」
ギルヴァの言葉に、ソゼは驚きながらも頭を下げたまま
「寛大なお心に感謝致します。依頼内容をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
ソゼが聞いたのと同時に、ギルヴァの近くにあったマキアが書いた手紙に闇属性の魔法陣が付与されてる物を、ソゼの前に浮かばせたまま渡し
「特定の家に宛てた大切な手紙だ。その手紙を届けて…使用人ではなく家の者が手にするまで見守れ。もし、邪魔が入ったら見えないよう処理していいが。手紙に触れないようにするだけにしろ。」
「かしこまりました。手紙の返信の受け取りはよろしいのでしょうか?」
「俺の魔法陣を組み込ませてある。…返信を出した時に転移させるから問題ないだろう。」
「ギルヴァ様の魔法なら問題はないかと…」
「あの……」
2人の会話にマキアは我慢出来ず言葉を発する
「私の手紙にここまで厳重にされなくても……」
「ほぼ初めて送る手紙だから厳重に見守るに決まってるだろ。…まぁ…高い魔力持ちなら、返信の魔法陣には気付かれるかもだけど……気付く程の魔力持ちは、転移の魔法で害はないと分かってくれるだろ。……1回の往復が出来れば、闇属性の転移魔法に記録が残るから、その後の手紙のやり取りできる。だから、行きの手紙は大切なんだよ。」
「……すみません……そこまでしてもらって……」
シュンと落ち込むマキアの頭を撫でるギルヴァ
「俺がやりたくてやってるんだ。その手伝いをソオブラに依頼してる。マキアが謝ることは何も無いんだよ。」
「自分は、ソオブラとして依頼受けました。必ず完了させます。」
ソゼの表情はフードにより、目元だけしか見えないが言葉から自信を感じられる。
「…ソゼ…ソオブラへの依頼は以上だ。前金は魔力か?……」
「前金は受け取りません。ミへーラフィ侯爵令嬢様のお話で、この地での影の使い方にコツを掴めそうなので……」
手を差し出そうとしたギルヴァに頭を下げて言ったソゼ