第9章 たいせつなこと
「ミへーラフィ侯爵夫人の質問に対しての答えが気に食わないのか?」
「気に食わない……それはありますね。だって嘘つきですもん。」
また嘘つきと言葉を使ったマキアに、ギルヴァは眉をピクッと動かしながらも煙草を吸いながら
「嘘つきね……出会って1週間満たないのは嘘じゃないだろ…」
「そこは嘘ではありません。その後です。」
その後……
ギルヴァは昼間のミへーラフィ侯爵夫人との会話を思い出し、紫煙を吐きながら
「あぁ……線があるとか、他からどう見られても俺は気にしない。俺らのやり方がある……か?」
「何故、そう言ったのですか?……」
「何故……ね……」
煙草の灰を灰皿に落としまた吸うギルヴァ
それを見るマキア
2人の間に沈黙が流れる
「パートナーが良いと思ったからだな。」
「パートナーが良い……それなら……婚約者候補が現れても手合わせなんてしないでください。」
「………ほぅ?……それは何故だ?」
「…おかしいじゃないですか。パートナーが良いなら婚約者候補が現れても関係ないことではありませんか?」
「……現れるかもしれない婚約者候補の身体を心配か?」
「違います!!」
突然大きな声を出したマキア
大きな声にビックリしているギルヴァの事を睨んだマキア
睨むマキアの瞳が少し潤んでいた。
「なぜ……現れるか分からない婚約者候補のことを心配しなきゃいけないんですか??私のことを見向きもしなかった人に何も思いはありません!!」