第9章 たいせつなこと
出掛けると決まって、直ぐにフロランを中心としたメイド達を呼びマキアは支度する
ギルヴァも支度しながら、執事であるエンツォにホテルに残るレンヒとビィナへの出掛ける事の伝言を頼んだ。
マキアとギルヴァが初めて出会った丘
大木の近くに現れたのは黒と赤が混じった色の縦長の亜空間
その亜空間から出てきたのは
黒いシャツにグレーのスラックス姿のギルヴァ
白ポロシャツにライトグレーと白のチェック柄のロング丈のスカート姿のマキアは、ギルヴァにお姫様抱っこされている。
「もういいぞ。目を開けて」
ギルヴァの言葉に、亜空間を出る際にマキアは閉じていた目を開けると
目の前には見覚えのある大木と丘から見える森
空は夕方から夜になりかけていて、オレンジと紺色がグラデーションになっている
「…うそ…………ここって……」
ギルヴァにゆっくり降ろしてもらい立ちながら辺りを見渡し驚きを見せる
「そう。俺たちが最初に会った丘だよ。」
ギルヴァの言葉に振り返ったマキア
「ここは、首都から馬車や騎獣とかでも結構な時間が…私の召喚獣でも距離がある場所ですよ。」
「そう……だから、コレ使ったんだよ。」
そう言いながら指を鳴らして、黒と赤の混じった亜空間が小さな球体に変化してギルヴァが身につけている金色のネックレスのトップにある黒い宝石に消えていった
「魔道具ですか?」
「あぁ……この黒い宝石が魔鉱石の1つでな。それに移動の魔法陣を組み込ませて亜空間を出したんだ。」
「転移魔法陣じゃなくて、ここに着くまでに亜空間を歩いてましたよね?」
「あぁ…特殊な亜空間だから歩けるんだよ。」
ギルヴァが黒い宝石の金色ネックレスを触れて
「この魔鉱石と契約して、魔法展開時には魔力は常に消費されるから量は必要だが、そのお陰で安全に通れるんだ。」
「…そうなのですね。歩いてた時間は短かった気がします。」
「亜空間内では短距離でも、実際の距離とは異なるからな。」
ギルヴァの言葉にマキアは納得しながら頷いて、丘からの景色を見渡す