第9章 たいせつなこと
そう聞いたマキアは封筒から手紙を出して開いた
《マキアへ
元気か?
…って家を出て10日しか経ってないのに気になって手紙を書いてしまったよ。
マキアからの手紙を待とうと言った母様だったけど、
ごめんな。父様は我慢出来ずに書いてしまったよ。
そちらは雪が強いと聞いたが暖かくしてるか?
必要な物があれば遠慮なく言いなさい。
それくらい届けるようにするからな。
ルーヴィル・シンディより》
「父様……」
また違う封筒を取り出して手紙を開く
《マキアへ
お父様が初めての手紙だけでなく、その後に何回も送ってごめんなさいね。
元気かしら?
ミへーラフィ侯爵夫人から手紙で事情を聞いたわ。
今は、たくさん学んでるのね。
返事が書けないことに責めないでちょうだいね。
……と言っても貴女は気にするわよね。
手紙は侯爵夫人にお願いをして大切に保管してもらうから、安心しなさい。
シンディ男爵家であったことを送るからね。ゆっくり読みなさい。
体調だけは気を付けてね。
ミへーラフィ侯爵家なら大丈夫だろうけど、無理をしないようにね。
また書くわね。
リンア・シンディ》
「……か……母様(かあさま)……」
涙を浮かべて手紙をも持つ両手が震える
「何度か侯爵家にいる間に……貴女に渡そうと思いました。だけど、ご両親やご家族のことで心の負担になるのではないかと思ったのですよ。」
「……っ……そうですよね……お義母様……」
レジーヌの言葉にマキアは涙がポロポロと流れながら頷く
「魔法塔に所属が決まった時にも渡すのを考えましたが……ズイキの貴女への期待が集中していたからね……手紙の存在をズイキに気付かれたくなかったのですよ…だから……」
そう言ってレジーヌはギルヴァを見る
「今の貴女を支えられる方……パートナーが出来て挨拶に来た時に渡そうと決めました。……だから今なのよ。」
マキアは涙を流しながら、
涙で箱の中身の手紙が濡れないよう大切に抱えたまま
頭を深く下げて
「私のために…そしてシンディ男爵家の為に…ありがとうございました。お養母様…」